第三の資金調達方法

会社が資金調達する方法としては、「出資を募る」や「金融機関や個人から借入をする」などが一般的ではないでしょうか。

ここでは、上記以外でもう一つの資金調達方法をご紹介します。

それは、社債の発行です。

社債といえば、上場企業等の大企業だけのものと思われがちですが、中小企業でも発行可能です。少人数私募債と呼ばれるものがそれです。

少人数私募債とは、金融機関からの一般的な融資とは別に、縁故者や役職員、取引先などから直接資金を調達する方法として利用されるものです。会社法上の会社(株式会社、合同会社、合資会社、合名会社、特例有限会社など)なら、信用と償還能力があれば発行することができます。

少人数私募債発行のメリット

①    償還期日まで元本の返済が不要である。

②    利息の支払いが年1回(または2回)。

③    担保、保証料、審査が不要である。

④    金融機関や新規取引先の格付け評価が高まる効果が見込める。

⑤    出資と違い、会社経営を支配されるリスクがない。

⑥    社債利息は損金算入できる。

⑦    社債権者に節税効果が期待できる。

メリットのうち、①につきましては、償還期間まで自由に資金が使えます。

④につきましては、少人数私募債が発行できるということは、発行会社を信頼して社債を引き受ける人(社長他役員を含む)や会社が存在するという客観的な証明となるからです。

⑤については、出資の配当を支払う場合は、税引後の可処分所得から支払うこと(利益処分)となるため、損金算入できませんが、社債利息は通常の借入利息と同様に損金算入できます。

⑥は、社債の引受者が高額所得者であれば、所得税と住民税を合わせて最高50%の税率となりますが、社債利息は、預金利息と同じく所得税15%、住民税5%合わせて20%の源泉分離課税となっていますので、高額所得者の役員等の方には、報酬で受け取る代わりに社債利息で受け取ると節税効果があります。

少人数私募債発行のデメリット

①    償還期日に多額の資金が必要となる。

②    債権者に対し、積極的な決算等の業績開示が必要となる。

デメリットのうち、①につきましては、メリット①と裏表の関係です。償還期間まで返済が無い代わりに、償還時の負担が大きくなってしまいます。

②は、社債は出資と異なるとは言え、他人からお金を預かるわけですから、発行会社にとって情報開示は当然しなければならない事柄となります。

少人数私募債の発行に向いている会社とは?

①    償還期日に元本返済の見込みがある。

②    会社や社長をはじめとする経営陣に信用がある。

③    積極的に会社の経営情報の開示ができる。

少人数私募債の発行条件

①    法人組織であること。(特例有限会社、合同会社等も可能)

②    取締役会(非設置の場合は、臨時株主総会)で決議すること。

③    社債の勧誘者が49名以下であること。(49名を超えると公募となる。)

④    社債発行総額を社債の最低額で割った数が50未満であること。

⑤    社債に譲渡制限を設けること。

⑥    (告知をしない場合)発行総額が1億円未満であること。

発行条件のうち、①につきましては、あくまでも「勧誘する対象」が49人までということです。引き受けてもらう方の数ではありません。ですので、断る方もいらっしゃるでしょうから、必然的に、引受人の数は49人以下となります。勧誘する対象者が50人以上になると公募になってしまい、財務局に届出が必要となります。

⑤については、少人数私募債の分散を防ぐためです。譲渡には取締役会(又は臨時株主総会)の決議が必要となります。

以上が大まかな概要となります。また、ここでは実務的な手続きにつきましては割愛させていただきます。

利害関係者からの信頼が厚い法人であれば、一度発行を検討してみてはいかがでしょうか?

ある意味、社債の勧誘状況で会社の“真の”信用度が計れるかもしれませんね。